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ちらしの裏側に書くようなどうでもいい事を書き綴る場所。 そして同意者を得たい、そんな人。
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大きなレハト。
小さなサニャ。
レハトの影にすっぽり隠れた私は、本当に必要なのかな。
サニャにはわからないよ。

どうしたらレハトの為になるんだろ……。



「誰でも出来る事」
レハト×サニャ。
サニャ愛情ED後、ヴァイル親友状態。
地の文テラ多め(少し見易く調整してはいるけど)
2話か3話くらいに分かれる予定。


二人目の寵愛者が現れたと聞いた時、サニャは自分に関係の無い話だと思った。誰かが侍従が着くにしろ城に上がって一年も経っていない自分は、せいぜい城で顔を見掛ける程度だろうと。しかし、いざ蓋を開けてみれば、二人目の寵愛者、レハトの部屋着き侍従として自分が着く事になっていた。リリアノ直々の人事だと言われては断るなど出来ない。怖いながらもサニャはレハトの侍従として過ごすことになった。

最初こそ腫れ物に触れるように恐る恐る接していたサニャではあったが、似たような村で生まれたレハトであったからすぐに親しくなった。一緒にいると楽しく、時間を忘れて話す事もよくあって、時おりローニカに笑いながらたしなめられもした。

運命的なことは二人の間にはなかったが、小さな事件を繰り返して、やがてお互いに想い合うようになる。だが寵愛者と侍従である事をサニャは忘れはしなかった。だからレハトからの告白を嬉しく想いながら「さびしいからだ」と突っぱねて逃げ出したのだ。それでもレハトは以後も変わらずに好意を示し続け、そして分化の儀を終えた彼はサニャへ求婚してきた。どれだけ許されないものだと、身分が違うと、釣り合わないとサニャが泣きながら言っても、レハトは優しく諭す。

「私はサニャじゃなきゃ駄目なんだ。誰かがサニャのことを駄目だなんて言ったら私が殴ってやるぞ」

にっこりと笑ったレハトが、ぎゅうとサニャの体を抱き締める。

「好きだよ、愛してる」

それは一杯にまで水が注がれたカップを揺らすような言葉。サニャは唇を震わせながらレハトと同じ言葉を繰り返した。溢れだしたら止まらなかった。好きだ、愛してる、ずっと一緒にいたい。
「これからも宜しく、私の可愛いサニャ」

自分より低い位置から伸びた手が優しくサニャの頭を撫でた。





レハトは強い知識欲と冷静な思考を評価され、分化後は文官長となる道を示された。レハトは快く地位を受入れ、就任後は王となったヴァイルを文官長として、また親友として支えている。

徴持ちであるという贔屓無しにレハトは有能であったから、文官長としての仕事以上のこと――つまるところ、王の側近として働くことに誰からも不満は出なかった。やがてヴァイルとレハトは臣下や民に二人の王と呼ばれる。それを耳にした現国王は「それはいいな」と笑い、王の腕は「嘗められてるんだぞ、6代国王」呆れてみせた。

しかし名実ともに高い位置に立ったレハトの妻、サニャの存在は薄い。時折、妻を持っている事を知らぬ麗人が舞踏会でレハトへしなだれかかるのをサニャは見掛けている。そのたびにサニャは自らのいる場所に心を痛めていた。

――やはり自分は釣り合わない。

レハトが成人となる籠りの期間中、サニャは貴人の世界で生きて行けるようにひたすら勉強を重ねた。レハトの隣へ立つ為と思えば、呪文のような文字列にも立ち向かえた。立ち居振舞いや言葉遣いもひとつひとつ直した。籠りが終わる頃には危ういながらも文官長の妻として立てていたと思う。

だがレハトは今や文官長に籍を置きながらもそれ以上の実力、地位であろう。サニャはレハトの隣に立つのが怖くなった。美しくもなく、知もないような女を隣に置いてはレハトが馬鹿にされる。己がどのように言われようと、レハトが酷く言われるのが怖かった。だが今の自分では足りないと分かりながらも、これ以上になれるとも思えない。

己の存在意義が揺れる中、サニャはある噂を耳にした。

かつてヴァイルはレハトを愛していた。もしレハトが性別を女としていたならば、籠り明けにすぐとはならないながらも、あの仲ならばいずれ彼らは何の障害もなく夫婦となっただろう。二人の寵愛者が才を振るえばこの国は更に安寧を維持出来るばかりか、かつてない程に発展を遂げたに違いない。また、徴持ち二人の子ならば徴持ちが生まれるに違いないのだから、権力独占の危惧はあれど、前回のように宮内が荒れるような事はなかっただろう。

そして、その噂の最後はこう締め括られる。

「レハトは何故男を選んだ?」
「毒にも薬にもならぬ下らない女を欲したせい」
「アレこそ、我が国の生き字引様の唯一の失策だ」

――幸か不幸か、レハトはこの噂を知らない。もし彼の耳に入ったならば、すぐさま噂を徹底的に潰すであろう。その事はサニャばかりでなく、ある程度の年数を城で過ごした者ならば理解している。

かつてレハトとサニャが婚姻を交わしたばかりの頃も、サニャが不釣り合いと影で揶揄され、レハトはそのような罵倒を耳にする度に一人一人を攻め立てた。実力行使はせず、ただ弁論のみによって沈めたが、しばらくの間はレハトを非難する声が耐えなかった。地獄耳の君、とは、かつてを知る者達によって広められたレハトの二つ名である。

もし今回もレハトが知れば同じように噂は捩じ伏せ、再びレハトが非難される。

「そんなのやだ、だめだよ……」

サニャはかぶりを振る。愛する者が虐げられるなど自分が傷つくより辛く、悲しいのだ。レハトとて同じ理由で行動を起こしているなどとは、追い詰められたサニャには分からない。

「……ぁ、あ、わ、私が、出てけばいいんだ」

そうすればレハトを責める術は全てなくなる。優しく、強く、美しい彼ならば次の妻など簡単に見つかる。それこそ、かの麗人ユリリエなどどうだろう?レハトはユリリエとも仲が良いし、彼女自身、血統も気高さも美しさも兼備えた素晴らしい女性だ。高い地位を求める彼女ならば、すぐさま彼の隣へ……――

「……っう」

頭がくらくらした、胸がギリギリ痛む、気持ちが悪い、目の前が真っ白に染まる。お腹が痛い。
その場にしゃがみ込んだサニャに「奥様!!」侍従が駆け寄る。心配はないと返そうとして――そこから先のサニャの記憶はない。

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ただの変態。そして厨二病患者。更に重箱の隅を突つき隊。
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