忍者ブログ
ちらしの裏側に書くようなどうでもいい事を書き綴る場所。 そして同意者を得たい、そんな人。
 カレンダー 
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
 カウンター 
[84]  [83]  [81]  [80]  [77]  [76]  [133
 [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「キヨの日記」
キヨと王子の最初のおはなし。




世界は不公平だ。
不公平なのに平和だ。
不公平をなくそうだなんて、ただのエゴイズムじゃあないか。
誰かが働いている限り、人間に公平は手に入らない。
私なんか働いても働いても、ずっとずっと一番下で、ずっとずっと腹が空いている。
この労働に見合う賃金を手に入れられたなら、きっと私は大金持ちにはなれなくても、それなりの生活は出来るはず。きっと毎日お腹一杯食べれるだろう。
でも、私がゴネたところで現実は変わらないのだ。
最下級の生き物だって、あいつらは言う。
綺麗な顔したあいつら。
醜い姿をした我らが黒種と、見目麗しい姿をした白種の二つで、私たちの世界は出来ている。
線が細くて、整った顔をした白種は、姿と全く反対で、とても残忍だ。
人をいたぶる白種の恍惚の顔ったら、もう壮絶に美しい。
その美しさが気持ち悪くて仕方が無いのだが、それを口にした友人は同情より吐き気を起こす姿になって捨てられていた。それが今日。
もうどうしようもないくらいに、どうにもならないのだ、と。
私は悟らされた。




今日、白種の王子というのを見かけた。
なるほど、王子というだけあって、なかなか綺麗なもんだ。
白い肌は絹みたいだし、目なんか瑠璃みたいに青くて凄かった。
まぁ、絹も瑠璃も本で見たくらいで、実際のは、もっと綺麗なのかもしれないけど。
それでも王子とやらは、それだけ褒めてやるだけの美しさを持っていた。
でも凶悪さも王子様だけあって、普通の白種の比じゃあなかった。
家は壊す、家具を粉々に砕く、本は燃やす。
弱い私たちは為すすべも無く、それを隠れて見ているだけだった。
でも、私は苛々していたから一発殴ってやった。
殺されてもいいし、もっと嫌な事をされてもいい。
どうせなら偉い奴を殴ってから死のうと思っていたし、とっくに家族は殺されているし、友人も全員殺されたし。
だが、驚くことなかれ!
王子は私を殺しもしないし、もっと嫌なことをされたりもなかった。
私を王宮とやらに連れ込んで、フロに入れて、飯を食わせた上で家に返した。
理解出来ない。
長老も分からないそうな。
さて、どうなることやら。




王子が家に来た。
私の家を壊していったが、飯をくれた。
なんだ、あいつ、気まぐれだ。色々変な事をする。




王子が私を連れて行くらしい。
王宮とやらの直々に御指名だと、長老が言っていた。
羨望ではなく同情をされた。
なるほど、とうとう私は殺されてしまうらしい。
どんな拷問かは想像出来ない。きっと私たちの想像の粋を超えたナニカなんだろう。
ああ、さすが王子さま!なかなか面白い趣向ですね!
なんて。
さて、本当にどうなることやら。





何もならない。
殺しもしない犯しもしない、この王子。
罵倒されるし、殴られもするし、蹴られもするけど。
それだけだ。
お腹一杯には食べられないが、お腹は空かない。
綺麗とはいえないけど、寒くない程度の服は与えられた。
殴られたり、蹴られたりするのは痛いし、骨まで響くのもあるけど、でも死なない。
まだ私は死んでない。
前の時みたいに美味い飯はないけれど、フロに入れる訳でもないれど。
変わらない。
なんだ、これ。
気味が悪くて仕方が無い。






●されそうになった。
王子の周りにいる奴、メートって言ったかな。
王子はそういう趣向なのかと思って、恩返しにと大人しくしていたら、どうやら奴単独での行いらしい。
だからといって抵抗するのも面倒なので放っておいたら、部屋に帰って来た来た王子がメートの頭を吹っ飛ばした。
白種とは言っても、血は黒種と同じで赤黒いらしい。あと黄色い。
その後、メートの●体を私が片付けて、王子からは暴力を受けた。これまでのが優しいと思えるくらいに酷かった。この傷は跡が残りそうだ。骨も折れているの か、手首が腫れてきた。
しばらく日記は書けそうにない。















王子に名前を聞かれた。
キヨだと答えて、ついでに王子の名前も聞いてみたのだが、王子には名前が無いらしい。
王子という役職だけで充分だと親が考えたのか、白種は変わった習慣を持っていると、率直に感想を言うと、王子は別に習慣ではないと答えた。
そういえば王子とは初めての会話だ。





王子は白種、それから変わり者だ。
白種の変わり者だからといって、優しい訳ではない。昨日も殴られて意識が飛んだ。
だが、どうにも白種と言ってしまうには足りない気がする。ちょっと違う。
白種の王と王妃から産まれたのは間違い無い。同じ顔してやがるし。
もしかしたら、王子は白種の●違いなのかもしれない。






王子に聞かれた。
自分を好きか、だとさ。
どうとも思っていないと答えたら、まだなのか、つまらない、だと。
なんだ、あれ。
今日は殴られなかった。
あと、フロに一緒に入らされた。傷口をいじられて吐きそうになった。
フロのあと、妙な服を着せられた、随分と露出の高い服。王子の趣味なのか。





逃げたいと、王子が私に泣きついてきた。
白種も泣けるのかと笑ってやると、王子はぐいぐいと首を絞めてきた。
苦しかったから頬をぶってやったら、そのまま泣き崩れた。
さすがに悪い気がして、慰めようとしたら外へ逃げられた。
そのまま朝まで返らなかった。




王子が返ってこなかった。
朝、目が覚めても誰もいないのは至極不気味だ。
取り巻きとか衛兵とか、そういうのも最近は入れないように王子が命令したから、本当に誰もいない。
飯はいつも通りに部屋の外に置かれているから問題はない。
問題はないが、なんだか変な気分だ。
探してやろうにも私はここから出たことがない。だから王子の行く場所なんかわからない。
今日は静かに過ごすことにする。




やっぱり返ってこない。
三日目だ。
王子は腹が減ってやしないのだろうか。
あの綺麗な肌と黄金色の髪は汚れてやしないだろうか。
心配する余裕が出てきた、いいことかもしれない。
あと一日待ってみて、王子が来ないなら何とか抜け出そうと思う。
義理は大切だが、飼い殺しはご免被る。





拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
 Twitter 
 プロフィール 
HN:
あかつき
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
ただの変態。そして厨二病患者。更に重箱の隅を突つき隊。
 アクセス解析 

Template by ららららいふ / Material by 素材くん「無料WEB素材屋」

忍者ブログ [PR]